倒れこんだ戒は渾身の力でぎゅっと土を掴むと、





「オピウム…………」




それだけを呟いて、ゆっくりと目を閉じた。


戒―――!!


右肩を押さえながらも何とか起き上がろうとするも、眩暈に似たようなものがこみ上げてきて全身から力が抜けていく。


痛い……と言う感覚はほとんどなく、あたしは全身にしびれのような麻痺を覚え、力を出すことも立ち上がることもできなかった。





意識を失う前に―――


誰かが近づいてくる気配があった。


ぼんやりと焦点の定まらない視界で横を向いていると、その人物は軽くかがんであたしたちがのした男たちの近くに転がっていたケータイと戒の握っていたハジキを拾い上げる。


そしてその拾ったケータイを持ってゆっくり立ち去った。


立ち去る間際に見た。



白いパンプスの先。



どこかで見た覚えが……



白いパンツスーツの後ろ姿が遠ざかっていき、あたしはその人物に何かを言ってやりたかったが、やがて意識はそこで途切れた。







―――





―――――――