■ 白い女!? ■


食事が終わって洒落た和食居酒屋から出ると、戒はあたしの手を引いて駅とは反対方向に歩き出した。


このあとは響輔と待ち合わせて、三人で叔父貴の会社に詰め掛けるつもりだったのに。


「どこ行くの?」


思わず聞くと、


「響輔との約束の時間にはまだあるし、お前が気にしてた龍神社、行ってみようぜ」





龍神社―――……





「うん!」


ずっと気になってたことだし、あのお社があるのかどうかだけでも確認したい。


あたしは大きく頷いて歩き出した。


龍神社はお店から歩いて十分ってとこだ。


暑い夏の…しかもお昼に歩くにはかなりきつい坂道を汗を流しながら登っていくと、神社の鳥居を囲む木々が見えてきた。


蝉の鳴き声が一層強く聞こえてきて、入り口から楽しそうな会話を繰り出しながら、小さな子供たちが虫かごや網を持って出てきた。


子供は元気だな~


……引き換えあたしたちは…


「あっつ…!熱中症になりそうだな、朔羅大丈夫かぁ?」


戒はカットソーの裾をぱたぱた。


あたしもハンドタオルで額をぬぐいながら、


「と、とりあえず休憩しよ…この暑さ異常だよ」


あたしは木陰を指差し。


戒もそれに賛成だったのか、無言で頷いてあたしたちはその場に移動して木にもたれかかった。


近くをさっき出てきた子供とは違う子供たちが通り過ぎていって


「ホントだよ~!ボク見たもん!


あそこに白い女の人がいたの!絶対あれ幽霊だって!」


「ケンちゃんの嘘つきー、あたし見てないよ。お化けなんていないってママが言ってたもん」


その子たちの会話にぎくり!




白い女の人!?


ゆ、幽霊ーーーー!?