なんだったんだ、一体…


俺はトップ画面に戻ったスマホを眺めて考えたが、これと言って想像ができず


諦めてケータイをソファに放り投げた。


大体、キョウスケの行動は謎だらけだ。


まったく想像ができんし、考えるだけ無駄だ。


俺は再びごろりとソファに横になると、放り投げたケータイが耳元でまたも着信を鳴らした。


着信:響輔


になっていて、訝しみながらも通話ボタンをスライドさせる。


「何だ、言い忘れたことでもあるのか?」


俺もあまり真剣に話を聞くつもりもなかったし、寝転がったまま欠伸をかみ殺していると


『一つだけ。事故の後遺症はどうですか?』


事故―――…?


「ああ、こないだの衝突事故の…これといって問題もなく回復してる。


何だ、お前が私の体の心配か?」


とうとう欠伸を堪えきれなくて、語尾が変な風にかすれたがキョウスケは気にした様子を見せずに続けた。



『鴇田さんが事故に遭って気づいたんですけど、




一結てファザコンだったんですね。お嬢もそうだし。



言いたいことはそれだけです。





おやすみなさい』





俺は途中だった欠伸を変な風に止めて、半身を起こした。



キョウスケは―――





気付いている。



俺はスマホを手に呆然とその画面を見下ろしていたが、当然何かの返事が返ってくるわけでもなく


ツーツー…と言うむなしい電子音だけが部屋の沈黙を打ち破っていた。




気付かれていた。




俺は閉じたままの寝室を目にやって、額に手をやった。






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