イチに薬を飲ませて眠りについたのを確認すると、俺自身もシャワーを浴びて
その後は風呂あがりのビールを飲みながら、イチの眠っている寝室をちらりと覗いた。
イチはバッグから取りはずしたクマのぬいぐるみを握り締めて心地よさそうに寝息を立てている。
キョウスケから貰ったと言うクマをあんなに大事そうに―――
まぁ拳銃じゃないだけましか。
あいつにも女っぽいところがあったんだな。
そう思い直して寝室の扉を閉め、ソファに腰を下ろし二杯めからはウィスキーを飲むことに。
氷が入ったウィスキーのグラスを傾けながら俺はキリに電話をした。
キリはすぐに電話に出た。もしかしたら俺の電話を待っていたかもしれない。
「今日は悪かったな」
開口一番に謝ると、
『いいえ。愛されてるのね、あなたは』
キリは嫌味じゃない口調で笑った。
「愛ぃ?」
思わず顔を歪めると、
『愛、よ。可愛いじゃないイっちゃん』とキリは茶化すように言ってきた。
俺は空咳をして
「今どこに居る?」話題を変えた。
『今はホテルよ。白虎のお姐さんたちの警護を』
そうなのだ。
数日前から白虎の幹部たちがこっちに来ている。
その殺人的に忙しい間にわざわざイチをキリに紹介したのは
イチの動きを封じるためでもある。
今、白虎の連中が来てることを外部に知られるのはマズいことだ。
イチが何者とつるんでいるのか親の俺でも分からん。
だがどこかで情報が漏れるのを防ぐため―――わざわざこの日を選んだ。
見張りの意味だな。
イチは俺の思惑にはまったく気づいていないようで、今日を単なる新妻紹介の食事会だと思い込んでくれたようだ。



