。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。






「あたしにはあんたの方が極悪に見えるけどね。


龍崎会長は確かに怖いけど、あたしには紳士に接してくれるよ」


イチは嫌味ったらしく声をあげて笑う。


紳士…ねぇ。まぁ女には優しいお人だから。


一応イチも女だしな。


それに会長は俺の娘と知っているからか、イチをもう一人の姪のように可愛がっているところがある。


「まぁ俺の…その親も死んでいないが」




「そっか……じゃぁあたしにはホントにあんただけなんだ―――」




イチが少し寂しそうに目を伏せて口元に小さく笑みを浮かべる。



「衛だって居るじゃないか。それに……」


言いかけて俺は次の言葉を飲み込んだ。


それに―――……


俺は何を続けようとしたんだろう。


キリも居るじゃないか。





それとも―――……






イチは俺の手にそっと指を絡ませてきた。


トン…と俺の肩に頭を預ける。






「たまにはいいかもね。



親子ごっこも」







「親子はこんなことしないだろ」


俺は言ったが、それでも手を離そうとしなかった。


いつもより…といってもそれほど知ってるわけではないが、いつもより高い体温が離れていかないように


俺はイチの手をぎゅっと握り締めた。






「雨の匂いがする。


気圧が変化してるのが分かる。





一雨くるかも」





イチは俺の手を握りながらも、照れくさそうに顔をそらし


窓の外を眺めた。