「待ってよ~」


男たちがあたしの断り文句にもへこたれずにへらへらついてくる。


表通りから一本奥まったセカンドストリートに入ると、一気に人通りが少なくなった。


歩く道の選択を間違えたが、店の場所はこの道を北上したところにあるのだ。


「ついてこないでよ」


前を向いたまま苛立ったように声を荒げると


「少しだけでいいからサ。飲み行こうよ。


絶対後悔しないよ?」


一人の男があたしの前を先回りしてあたしを覗き込んでくる。


そのツラを目に入れただけでもすでに後悔だっつうの。


てかしつこい!大抵の男ならここまで冷たくされたら引くっての!


あぁもう、バカなナンパ男のせいで頭痛までしたきた。


「急いでるの。どいて」


あたしは男を押しのけるように前に進もうとすると、


「お高く留まってんじゃねぇよ」


後ろの一人があたしの肩を強引に掴んで後ろに振り向かせた。


その男は三人の中では一番イケメンだった。まぁ響輔には到底及ばないケドね。


いかにもモテそうな雰囲気で、断られたことがなさそうな感じ。ちょっと冷たくされてムキになってるようでもある。


「離してよ、あたしは約束があるの」


手を払いのけると、男はまたも苛立ったように眉をしかめて


「思った以上に可愛くないじゃん?お前がすっげぇ美人だって言うからどんなのかと思ったら」


とすぐ隣の男を目配せ。


あたしもムっとなって思わず男を睨み上げた。


いつもならムカつく男のこんな捨て台詞気にしないってのに。


「負け惜しみ?ちょっと相手にされなかったからって。


小さい男」


ふん、と言ってやると、


男はいきなりあたしの腕を掴んだ。


「この女、マジでむかつく。おい、予定変更だ」


なにこの男……普通そうに見えて―――目がヤバくない?


クスリでもやってんのかしら。


そんな雰囲気があった。


自分の挑発をちょっと後悔してそろりと一歩後退したときだった。






「一結!」







名前を呼ばれてあたしは目を開いた。