低く言うと、男は顔を青ざめさせて


「な、なんだよこいつ……」」


弱々しく呟きあたしの手を払うと


「い、行こうぜ!」と言って束になった男たちは逃げていった。


「へ。バァカ」


中指を突き立てて逃げていく男たちの背中を見送っていると



ざわざわざわ



周りが騒がしいことに気付いた。





は!




やっちまったぁぁああああ!!!!





「お巡りさん!こっちです!こっちで喧嘩がっ」


誰かの声が聞こえて、


ヤベっ!お巡り!?


てか通報おせぇーよ!!!何でこのタイミングっ。


あたしは二人の手を取ると、


「と、とりあえず逃げよう!!」


慌てて走り出した。





―――




「はぁ……はぁ!も……ここまでこれば大丈夫…?」


ひとけのない路地裏まで走っていくと、


新垣 エリナは肩で息をしながら壁に手をついた。


「ほんま……全力疾走やなんて何年ぶり…」と女の人も心臓に手を当てて肩で息をしている。





「でも


お嬢ちゃん、ほんまに……おおきに。





うちを庇ってくれはって」




女の人は荒い息の中、途切れ途切れ言ってうっすらと笑った。



あ……




やっぱこの笑顔…



どこかで見た―――