「いやっ!」


新垣 エリナが顔を真っ青にさせて手を振りほどこうとするが、新垣 エリナの細腕は男の手を振りほどけなかった。


「何しやがるっ!その汚い手を離せっ…」


言いかけたときだった。


ぐい!


女の人が男の手を捻り上げ、男は


「いっ!痛てぇえええ!」


と今度は本気でみっともなく声を荒げた。


「自分が何しとるか分かっとるん!?


ええ歳して恥ずかしい思わへんの?


あんたらよう見たらうちの息子と似た年齢やないの。


親のしつけはどないなっとるの。




うちの息子はこんな恥ずかしい真似せぇへんよ!」





女の人は眉間に皺を寄せてギリギリと腕を捻り上げる。


「なんだよ、この女っ!」


一人の男が女の人の手を掴もうとして、


あたしは振り返ると同時に男の手首に当身を食らわし乱暴に払った。


「汚ねぇ手でこの人に触んじゃねぇ!!」


怒鳴り声を挙げると同時に


「なんだよてめぇはよ!!」


男の拳が飛んできた。




「龍崎さんっっ!」

「お嬢ちゃん!」



新垣 エリナと、女の人の悲鳴が聞こえてきたけれどそれは一瞬で


あたしは男の右ストレートをかわすと、男の懐に回りこみ左手でその拳を止めて、右の拳で



ドカッ!



男の顎に強烈なアッパーを喰らわした。


男が悲鳴をあげて後ろに引っくり返る。


あたしは引っくり返った男の襟を掴んで強引に立たせた。






「喧嘩の仕方も知らねぇヤツが、



安っぽい喧嘩ふっかけて、女引っ掛けてンじゃねぇよ」