■ 着物美人!? ■




大体、何であいつとあたしを結びつける!


これっぽっちも似てねぇし、第一年齢が若すぎるじゃねぇかよ!!


兄貴だったらまぁ分かるけどな。


「あんな素敵なお父さんが居たら授業参観とか来てほしいよね♪


あたし自慢しちゃう」


聞こうよ!人の話をっ。


「だからありゃ…」


言いかけたところで、





「すんまへん」





聞き慣れない女の人の声に呼び止められた。


きれいな関西弁―――……


不安そうに何かのメモを握っている和服姿の女の人だった。


黒い髪をきっちり纏めあげて、品の良いグレーの生地の着物。


ぅぉおお!美人だな、おい!


切れ長の目。すっと通った鼻梁。肌は雪のように唇に差した赤いの口紅が良く合う。


鈴音姐さんと同じぐらいの年齢かな。


一瞬芸子さんかと思った。それぐらい品が良くて美人だったから。


ん??


でもこの顔どこかで……




「この場所に行きたいんですが。


教えてくださいます?」




新垣 エリナと二人してメモを覗きこんでいるときだった。


ドンっ!


道を歩いていた数人の男が派手に女の人にぶつかり、その男は大げさによろけた。


女の人もよろけて、あたしは慌てて彼女を支えた。





「いってぇな!」




男がこれまた大げさに顔をしかめて、


なんだか凄く嫌な気分になった。