「違うって。


あたし、誰かが何かに向かって一生懸命な話って、どんな小さなことでも楽しいし




すっげぇな、って思うよ。



あたしもそんな風に一生懸命語りたいな、とか考えるし。




でも



それを考えると、やっぱりあのコーチのことは許せねぇな―――って…」



あたしの言葉を聞いて新垣 エリナはパンフをしまおうとしていた動作を止めた。


「あたし……あたしもいけないの。


お金が欲しかったからとは言え、あんなことしなければ…



でも



そう言ってくれてありがとう」



新垣 エリナは今にも泣きそうな瞳で笑顔を浮かべて


トン


あたしの肩にもたれかかってきた。



「龍崎さんて不思議。


外見は凄く女の子なのに、中身はその辺の男の子より男らしい。


頼れるし、守ってくれるし―――




龍崎さんが男の子だったら、あたし


間違いなく告ってたのになー…




龍崎さんがあたしの王子さまだったら良かったのにな~」





「うん、ごめん。


あたし生物学的にも戸籍上でも女なんだ。


王子じゃなくてお姫様になりたいし。


それに守ることはできても、あたしバカだから頼りがいはないよ?」


冗談ぽく返したが、


新垣 エリナはうっすら微笑んで



「ううん、あるよ。



頼りがい」



そう言ってあたしの肩に頭を乗せてきた。






まぁ……?男じゃなくても、女の子に告白されたけどな。



なんて


言えねぇけどな。





恋とも違う、友情とも違う


辛くて暗い出来事を共有した、ってだけじゃなく





あたしたちはきっと



何かで繋がっているんだ―――