新垣 エリナのおうちはご両親はお仕事で不在。お兄さんも大学に行っていて、


家にはあたしたち二人。


ちょうど良かったのかもしれない。


新垣 エリナ一人じゃ心細かっただろうし。


新垣 エリナのお部屋は八畳ぐらいの部屋で、いやらしくない程度の落ち着いた紫色を基調とて所々グレーの家具が配置してある。


オシャレなお部屋だった。


ちょっと変わったアンティーク調のカーテンはきっちり閉められていて、新垣 エリナはそのカーテンを開けようとはしなかった。


外に誰かがいるかもしれないと言う嫌な想像に怯えていそうで、わずかに顔色を悪くさせてカーテンが閉まっているのをしつこいぐらいに確認している。


「あ、可愛いお部屋だね!」


あたしは話題を変えるように、オシャレに配置している香水ボトルや、ジュエリーボックスとかを目配せ。


「ありがとう」


新垣 エリナはちょっと安心したかのように頬を緩めて、その中からマニキュアの入った箱を取り出し、


「明日バイト休みでしょ?ネイルしない??♪」と聞いてきた。


明日はバイト先が定休日で、ついでに戒と豪華ランチ(賭け)の約束もしてる。


ランチはまだ考えてないケド。


おしゃれしてデートてのもたまにはいいよな♪





―――…ネイルなんてはじめてだ。


新垣 エリナはあたしの手をとって、爪先にピンク色と白のマニキュアをきれいに塗っていく。


随分手馴れた手付きで、みるみるうちにあたしの爪がぴかぴか可愛いく変身していく。


「お花だ!」


淡いパールがかったピンクの下地に白のマニキュアの筆先で、新垣 エリナは器用に描いていく。


はー


すっげぇな。


「龍崎さんのイメージぴったり。ね、ストーンもつけてみていい?」


新垣 エリナはあたしの爪を彩りながら凄く楽しそうだ。


メイクアップアーティストになりたいってだけある。


大小さまざまのキラキラストーンもつけると、また一段と華やかになった。


片手五本全部の指じゃなくて、薬指のところだけ。






左手薬指の爪の表面が、意味深に花開く。