だけど


そう簡単に偶然て重ならないもんだな。


同じ時間帯の電車に乗っても、おにーさんとは会えなかった。


ドラマとか映画だったらさ~、二人はばったり再会するもんだろ??


どーでもいいときに会って、本当に会いたいとき会えないのがやっぱ現実だよな…


「残念だね」


新垣 エリナもしょんぼりと項垂れる。


大体…似たような背格好のサラリーマン多すぎるってんだよ。


む゛~と考え込んで腕を組んでいると、ふとひらめいた。


あのおにーさん…


中央商事の社員だって言ってた。


その会社に行けば、




会えるんじゃ??





そうだよ。


その手があったじゃん!


一人納得したけれど、でも会社の所在地なんて分からないし。


……あとでキョウスケに調べてもらおう…


でもキョスウケ……昨日あんなことがあったし、しばらくはあたしとまともに顔合わせてくれなさそうだしな…


戒にでも頼むか…


結局、あたし一人じゃ何にもできないなぁ。


ガクリ


項垂れていると、


「ねぇ龍崎さん、このあとちょっと時間ある?


よければうちに来ない?」


新垣 エリナは立ち直りも早くにこにこ聞いてくる。


断る理由もなかったし、別に暇してたからそれもいいかも。と思って


「うん、行きたい」


あたしは快く頷いた。