いつになく素直な戒が子供みたいで可愛い。


髪がふわふわしてっし、なんか……ぬいぐるみを抱っこしてるみたい♪


と、思ったのはほんの数秒。


さわさわさわ…


いつの間にかあたしの後ろに回った戒の手があたしのブラウスの中に侵入。


「てめっ!!どさくさに紛れて何触ってんだよ!」


てかさっきの落ち込みは何だってんだよ!


フリか!?


「だっていつまでも落ち込んでるのは良くないし~」


と、立ち直りも早く真正面からにこにこ言われて、戒はあたしの両わきの下に手を入れて軽々抱っこ。


「ランチ考えといてね」


子ヒツジみたいなふわふわ笑顔で言われて、あたしはその笑顔に危うく流されそうになった。


目の前の景色も流れる。


気づいたら、天井の白い色が視界いっぱいに広がっていた。


「てめぇ!言ってることとやってること違ぇんだよ!」


ベシッ!


床に押し倒されたあたしは、覆いかぶさってくる戒の顔を背けるのに精一杯。


「ええやん♪夫婦なんやし。


別に賭けせぇへんでも俺には口実ならいくらでもあるもんね~♪」


のしっ


戒が再び覆いかぶさってきて、


バキぃ!


あたしは本気で戒を殴り飛ばした。