『待ってよ、うさぎちゃ~ん!』


通話を切ろうとしていた気配を感じ取ったのか、タイガが慌てて言う。


「てかおめぇ、オレオレ詐欺もとい、僕ボク詐欺かよ!


今忙しいんだ!おめぇに構ってる暇はねぇ」


はっきりきっぱり言ってやると


『そうなの?


うさぎちゃん今日僕の家に忘れ物していったから、それ届けに来たんだけど。


あ、ちなみに龍崎組のすぐ傍だよ』


「忘れ物??」


あたし何か忘れてきたっけ。


『ヒツジのぬいぐるみ。うさぎちゃんのバッグに掛かってた子』


そう言われてバッグを見ると、確かにそこにぶらさげておいたヒツジのぬいぐるみが無いことに今更気付いた。


可愛くて結構気に入ってたのに、置き去りにしてくるとか…


ごめんね、ラム子。(←もう勝手に名前をつけた。しかも女)


タイガの家を出るとき、逃げることで精一杯だったしな。ラム子が取れてたことに気付かなかったみたいだ。


  !


突如閃いた。


「おめぇ近くに居るって言ってたよな。ついでだから乗せてって欲しいとこあるんだけどよ」


『お安いご用だよ♪』


タイガは上機嫌に承諾。



危険だと分かってたけど、今はリコのことが最優先。


待っててリコ!!