尚も喚くユズを追っ払って、あたしはまたも一人で廊下を行ったりきたり。


戒も帰ってこないし…


「そだ!リコに連絡してみよう」


慌てて部屋に戻りケータイを開いたけど、


い…いい雰囲気だったらマズいよな…


…って!いい雰囲気って何!!


リコの気持ち知ってるし。


でも今なられたら困るんだよ!


戒との賭けがあるからな。


戒のヤツ…なんつぅ危険な賭けを言い出しやがった。


しかもあたしが勝ってもランチ一回分だろ??


あたしにあんま利益ねぇじゃん!


こーなったら…あたしが勝ったらフランス料理のコースランチを奢らせよう!


フォアグラもキャビアも、トリュフもツバメの巣も全部いただくもんね。
(注:ツバメの巣はフランス料理じゃありません♪)


結局、リコに電話を掛ける勇気も出ずケータイを開いたり閉じたりしているときだった。


~♪


ビクゥ!!


突如電話が鳴り出し、あたしはびっくりして思わずケータイを取り落とした。


床に落ちたケータイはなおも鳴り続け、サブディスプレイには


着信:リコ


となっていて、またまたびっくり!


な、なんてタイムリー…


ちょっとドキドキしたが、あたしは何とかケータイを拾って通話ボタンを押した。


「も…もしもし?」


震える声で電話に出ると







『…ック、ヒック………朔羅ぁ………』






リコ―――…




泣いてるの――――