でも彩芽さんだとしたら、


どこか違和感―――……





俺は響輔の方を振り返った。


「オピウムが香ってきた。


あの後ろの席に乗ってたんは彩芽さんや」


鼻先を押さえて車が走り去った方を眺めていると、


「俺は香りには気付かなかったですけど、でも誰か居る気配はしましたね」


「間違いない、彩芽さんや」


「あの二人…ドクターたちは恋人同士なんですよね」


響輔も立ち去った車を目で追いながら目を細めている。


「ああ、みたいだけど?」






「恋人同士って普通、助手席に座りませんか?」






響輔がいぶかしむ様に眉を寄せてドクターたちが去ったほうの車をじっと見つめている。


あ…なるほど。違和感てそれか。


「何で後部座席に?喧嘩してるとか…?」


「そんな雰囲気にも見えませんでしたけどね。喧嘩してもカップルや夫婦って運転席と助手席じゃありませんか?」


「じゃぁあの二人はどうゆう関係なんだよ」


「分かりませんが、俺たちが思う程親密な関係じゃないかもしれませんね」


「元々クラブZが怪しいって言って、たきつけたのはあの女だぜ?


絶対何かもくろみがあってドクターに近づいたに違いないが」




「そのもくろみってのは




ドクターを介して、戒さんに近づくことじゃないんですか?



甘くみない方がいいってことですね。




戒さん、気をつけてください」





ああ、言われなくても



あの女―――絶対何か隠してる。




それも…何かとんでもない秘密だ。



必ず…




必ず俺があんたの秘密を暴いてやるぜ。






覚悟しいや。






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