「おい、みー。はやく起きろよ?」

大好きなあの人の声がして、
あたしは目を覚ました。

「ん……。ん…。もう、ちょっと。」

「ダメだって!俺まで
 遅刻しちまうよ!」

そう言って布団を剥ぎとった龍冴。

しょうがないなぁ……。

あたしはゆっくりと体を起こす。

あぁ~。ねむッ…………。

「…………。」

あ、ダメだ。
Zzz………。

「おいッ、コラッ!寝るんじゃねぇ!
 起きろ!!」

煩い。寝れないじゃないか……。

「寝なくていいんだよ!もう、
 7時20分だぞ?」

……それはヤバい。

「5分。待ってくんない?」

「やっとかよ…。わぁ~った!
 はやく支度しろよ?」

「あい!」

あぁ~~ッ!寝みぃ……。
でも、寝たら遅刻……。

しょうがない。こうなったら、
最終手段だ!

あたしは側にあった携帯に
手を伸ばす。

そして、レコードした音楽を流す。

~~~♪~~~♪~~~♪

激しいギターとベースのぶつかり
合いのあとに、静かに…でも、
激しく歌い出すこの曲。

どこのバンドでもない。
どこのアーティストでもない。
世界には知られてないこの曲を
作ったのはあたしも含めて8人。

あたしのお気に入りだ。
この曲を聞いてるだけで、眠気も
不安も悩みも吹っ飛ぶ、最強の曲。