慌てて、ぐいっと体を押されるけど

男と女の力の差?

全然響かない。


「ちょっとここ、家!」

「大丈夫やって。

母さん、パートで夕方まで帰らんし。」

「そう、やけど・・・。」

言葉とは裏腹にどんどん抵抗する力が弱まっていくのが可愛い。


正直、葵と両想いになってから

はじめて自分が恋愛においてキャラが変わる方なんだと知った。

自分で自分を制御できない。

いつも一緒の空間にいたいし、隙あらばくっつきたい。


俺、きもちわる・・・。

全然知らんかった。


とか思うけど、止められない。

夢のような現実に抑えがきかない。


それに、葵もまんざらでもない様子。

それがまた可愛くて、俺を煽る。


こんなとこ、他の奴に見られたらめちゃくちゃはずかしい。

でも今は二人きり。

こういう時は、義姉弟でよかったと思う。

同じ家に住んでるから、普通に一緒にいられる時間が長い。


幸せをかみしめて、コンビニの袋を近くの椅子の上において

今度は両手で抱きしめる。


そしたら、葵も俺の背中に手を回してくれる。

可愛い・・・。


姉だった頃からは想像できない葵。

葵も俺と同じで変わるタイプなんかな?


その変化がとてもうれしかった。


「葵、好きやで。」

「わ、たしも・・・。」

両想いだという自信があるからか、前まであんなに言えなかったこの2文字も、こうしてすんなり出てくる。

恐ろしい・・・。