「なあ、頼むって。」

葵に大量のプリンやらシュークリームやらが入ったコンビニの袋を差し出し、
思いっきり頭を下げる。

「無理に決まってるやん!!」

「じゃあ、他の奴に頼むことになるで?

それでもいいわけ?」

「そ、それは・・・。」

ムッと唇を突き出して口ごもる。


よかった。

別にいいよ、とか言われなくて。

即答とかされたらへこむ。


安心感と、そして生まれてくる余裕。

ニッと口元を緩ませると、葵はさらに嫌そうな顔。


「で、でも!!バレたらやばいやん!

とくに遼くんとか斉藤くんとか、私の顔知ってるし。」

「だから、マスクして・・・サングラスとか。」

「超変質者!」

「とにかく、ちょっとの間だけやから!

すぐに解散させるから!

だからマジお願い!!頼むわ!!この通り。」

もう一度深々と頭をさげる。

もうこれ以上さげられないくらいに。

体の固い俺にしては、だいぶ努力した方。


「はあ・・・、もう。わかったよ。

私も、そんな役を私以外の女の子がするの嫌やし。」

「・・・葵。」


愛しさがあふれて、葵をぎゅっと抱きしめた。