うっとりと唇を合わせていると

ポタっと、頬に雫が落ちた。


反射的に唇を放してしまった。


「ハル?」

不思議そうに葵が見ている。


「あ、ごめん。

俺、そういえば髪の毛べちゃべちゃやった。

葵も濡れてもた?」


見ると、葵の服もところどころ濡れている。


それを見て、ふふっと笑った。

「ほんまや、私も気づかんかった。」


あかん、これはもう病気やな。

どんな葵でも可愛く見える病。

不治の病や・・・。


「おまえ、可愛すぎな・・・。」

「へ!?」


思わず漏らして、口元を手で押さえるけど

出た言葉はもどらない。


葵は、心底びっくりしたような顔をしている。


「な、なんやねん・・・。」

半ば開き直るしかない。

「だって、ハルが私のこと可愛いって・・・。」

「あたりまえやろ。

好きな女が一番可愛いに決まってるやんけ。」

今までも、これからも。