「・・・ハル、これ夢ちゃうやんな?」
俺の肩口に顔をうずめたまま問いかけてきた。
さすが姉弟?
考えてることが同じだ。
「俺も、今そうちゃうかって思ってる。」
そう答えると、少し笑うのが聞こえた。
夢じゃない?
ほんまに?
だって信じられへん。
ずっと好きやった女の子が
諦めてた子が
届かないと思ってた葵が
こうして俺の腕の中にいる。
こんなことが実際に起きていいのか?
人間、絶対無理って思ってたことが目の前で起こると
どうしたらいいのかわからんねんな。
・・・でも
うれしくてうれしくてうれしくて。
とにかく幸せすぎて。
この時間がずっと続けばいいって。
今まで生きてきたのは
いろいろ頑張ってきたのは
きっとこの瞬間のためやったんちゃうか?
って
全然関係ないことも、全部ここに繋がってたような錯覚まで覚えて。
抱きしめたまま、葵の頭にすり寄った。
ああ・・・好きやな。


