その言葉が聞こえるか否か、
葵を抱き寄せた。
我慢できん・・・。
これはきっと都合のいい夢。
だって、葵も俺の背中に手を回すなんて。
現実なはずがない。
「葵・・・!」
名前を呼ぶと、応えるようにしがみついてくる。
この体温も全部夢。
この感触も、香りも。
ずっと夢見てた。
想像してた。
葵が俺を好きになること。
両想いになって
こうして、こうして抱きしめて
想像よりもずっと・・・
ずっとあったかくて
やわらかくて。
葵は、俺が思ってた以上に女の子で。
男の俺とは全然違う。
小さくて、守りたい存在。
抱きしめるとそれがよくわかる。


