なんで俺じゃあかんねん

伝われ伝われ。

もうこれは、願いというよりは呪い。

俺のこと男としてしか見えないようになればいい。

弟だなんて、思えなくなれ。


俺はもうずっと、そうやねんから。


「うそや・・・。」


ずっと何も言わなかった葵が、小さくつぶやく。


うそ?

抱きしめたまま、疑問に思った。


うそってどういうこと?



「そんなん、うそや!!」


次の瞬間、思いっきり葵に突き飛ばされた。


「うわ!!」


予想外のことに、体はよろける。

こけそうになったけど、なんとかバランスを取り戻す。



「ちょ、おまえ、なにすんね・・・ん・・・?」

いつもの癖で、悪態をつきそうになって

葵を見て、思考停止した。