なんで俺じゃあかんねん


しばらくして

葵の体がもぞもぞ動いた。

「・・・痛っ。」

「あ!」


やりすぎた。

男の俺が力いっぱい女の葵を抱きしめたら、

そりゃ痛いよな。


「悪い。」


パッと腕を緩めると

すかさず、葵の手が俺の胸を押した。


その顔は真っ赤で

俺はまた期待してしまう。


今日は、俺の気持ちを伝えるだけでよかったはずなのに

もしかしてって。


バカな子供の期待。



でも、その期待は葵の呆れ笑いで崩れる。


「ハール!」

諭すような声。


「お姉ちゃんのこと、大好きなのはわかるけど

こんな外で抱きしめたら、誤解されるから。」