なんで俺じゃあかんねん

そこへ、私たちのテーブルに歩み寄ってきた人物が一人。

「葵・・・!」


うわ・・・!!!

とうとう、見つかってしまった。



「よう、ハル!」

真田くんは、さっきの空気はまるでなかったかのようにハルに声をかける。

相崎くんは、面識がないから軽く会釈。


わたしは・・・・

「なにやってんねん、こんなとこで。」

ハルの問いかけに、そろりと視線をそらした。


いやいや・・・

これは余計に不自然。


「あ、ハル~。

なにやってるって、ご飯食べてるんやろ?」

・・・あくまで自然に。

そして、穏便にこの場を乗り切ろう。



「なあ、だれ?」

相崎くんは、小声で私たちに聞いてくる。

「俺の部活の後輩で、坂井さんの弟。」

「坂井 春也です。」

「へえ~~!君が噂の葵の弟!!」

相崎くんは納得したように表情を明るくしたあと、ふむふむと何度か頷いた。

「あお、い・・・?」

ハルは、私の呼び方に疑問を持ったらしく少し眉を寄せる。