なんで俺じゃあかんねん


「葵の作る和食、旨かったよな。」

「今、同じこと考えてた。」

「え?自分のつくる和食が自信あるって?」

相崎くんが少し悪戯っぽく口角をあげてみせる。

「ちがうー!相崎くんにお弁当作ったなって。」

「あー。初めてもらったときは、マジびっくりしたけどうれしかったわ。

けど、どこで食べるか迷ったよな。教室じゃ、恥ずかしすぎるし。」

「クラスのごく一部しか、私たちが付き合ってること知らんかったしね。」

私がそういうと、相崎くんも「なー。」と短く答えた。

そんな私たちを交互に見た真田くん。


「・・・やっぱり付き合ってたんやな。」

切なそうにそう言った彼を見て、しまったと思う。

告白してくれた人の前で、元カレと、しかも付き合ってた頃の思い出話とか、無神経すぎる・・・。


「ごめん!海。

でも、昔の話やから。俺、今別の彼女おるし!」

相崎くんも慌てて弁解している。

「そうなん?誰?」

「おんなじクラスの奴。

期末後に告られて、付き合うことにした。」

「めっちゃ最近やん!」

「翔、最近彼女と長続きしてないってほんまか?」

真田くんは少し心配そうに相崎くんを見た。

「そんな噂流れてんの?やめてや~。

まあ、確かに1か月くらいしか続かんけど。」

1か月!?

「なんで?」

私とは、半年以上続いたやん。

「いや、なんでって言われても・・・。」