なんで俺じゃあかんねん

「ごめん、坂井さん。」

「ん?」

いきなり謝られて反射的に顔をあげる。

「俺から誘ったのに・・・

俺、緊張してて。」

見ると、少し頬が赤いような。

「女子と二人で出かけるとか、したことなくて。

話題も、いいの思い浮かばんし。」

「したことない!?今まで一度も?」

「うん・・・。」

「うそーー!!」

だって、真田くんやで!?

あの真田くん。

去年からクラス同じやけど、そのときからモテモテの真田くん。

バスケ部でエースになってから、学年を問わず人気の真田くん。

正直、こんなかっこよくてなんでもできるスーパー人間が、なんでわたし?って思ってるのに。

「真田くんって、彼女おったことくらいあるやろ?

あんなにモテモテやねんから。」

「ないよ!俺、今まで付き合ったことないから。」

「え?!でもでも!告白は?いっぱいされてるって聞いたけど。」

「あーまあ・・・いっぱいかはわからんけど。」

絶対いっぱいやろ。

数え切れへんくらいやろ。

「でも、好きじゃないのに付き合うとかおかしいやろ。」