なんで俺じゃあかんねん

「坂井さん!!」

「ん?」

「終業式の後、あいてる?」

え・・・。

「あい、てるけど。」

「次の日から大会に向けての強化合宿やから、終業式の後は部活なくて。」

そっか、男バスはインターハイ出場するんやっけ。

「よかったら、俺とデートしてくれませんか?」

「え!」

デート・・・!!!

真田くんからはっきりそう言われると、はずかしい。

遊ぼう、じゃなくて、デート。

「・・・無理にじゃないから!

あの、返事困ってるみたいやし、もっと俺のこと知ってほしいっていうか。

判断材料になればいいかなって、思って・・・。」

早口にそう言って、さっきよりも顔を赤くして俯いてしまった。

判断材料か。

確かに、もっと真田くんのこと知らないと、わからへんこともある。

「デートって言っても、学校からの帰りにどっか行くだけでいいし。

なんなら、ファミレスとかで昼飯食って帰るだけでもいいから。」

「・・・うん。しよっか、デート。」

「まじ?」

俯いてた顔をバっとあげる。

小刻みに頷いて見せると、うれしそうに顔を綻ばせた。

うわ~素直・・・!

まえ付き合ってた相崎くんは、もっと慣れてる感じやったから、なんか、可愛い・・・。

「でも、自主練とかいいの?

インターハイ出るんよね?
あ!出場おめでとうございます・・・」

思い出したように言ってしまった。

・・・もっとちゃんとお祝い言った方が絶対よかった。

「あ、ありがとうございます・・・。」

でも、わたしの後悔とは裏腹に真田くんも、同じノリで返してくれて。

なんだか、おかしくて二人で笑う。


「次の日からどうせみっちりやるから。

それに、デートしてくれたら練習ももっとがんばれる!」

そう言ってまた少し赤くなった。

「・・・・そういうこと、なら。」

「ありがとう!

じゃあ終業式の日、よろしく!また連絡する!

帰るとこ引き留めてごめん。俺、部活行くわ!」

照れてるのを誤魔化すように、体育館の方へ小走りで向かう。

その背中に「部活がんばってね!」と声をかけると、一瞬立ち止まって振り返り、力強く頷いた。