なんで俺じゃあかんねん

放課後。

優里菜と野瀬は部活だから、いつものように杏ちゃんと帰ろうと、スクバを持ち上げた時。

「坂井さん。」

呼ばれて顔をあげると、相変わらずさわやかな笑顔の真田くんだった。

真田くんとは、文化祭以来ちゃんと話せてない。

だって、気まずいし・・・・
恥ずかしいし。

ちょっと避けてた部分もあると思う。

それが申し訳なくて、ぎこちなく笑顔を浮かべる。


「おつかれ、真田くん。どしたん?」

「うん。ちょっといい?」

「え?あ、私杏ちゃんと帰る約束してて・・・。」

「俺も部活あるから、ほんまにちょっとだけ。お願い!」

顔の前で手を合わせて頭まで下げられたら、もう振り切ることなんてできなかった。


「うん・・・。」

小さく頷いて、真田くんについていく事にした。

教室を出る直前に杏ちゃんに声をかけて、待っててもらうことになった。