5限目は世界史B。

お腹も満たされたこの時間に、この科目なら、いつもは爆睡。

でも今日は考え事があって眠れるわけもなかった。


ハルと初めて会った日のこと、これだけは今でも覚えている。

なんて可愛い弟ができたんやろうって。

4歳やった私は、初めて見たハルの可愛さにくぎ付けやった。

1歳しか違わなかったし、私たちはすぐに打ち解けて

年上の私のことをハルは慕って、何をするときもついて回ってた。

けど、小学生中学年くらいになると、男の子は生意気になっていって。

ハルも私のことをバカにするようになっていって。

その頃は、いつもハルにからかわれて泣きべそをかいていた気がする。

けど、6年生のとき。

バレンタインデーに、ハルがチョコレートをもらっているのを偶然見てしまった。

それまで全然気づいてなかったけど、ハルはもうこの時にはモテモテで、
バレンタインもチョコをたくさんもらってたらしい。

けど、そんなに食べられへんからって、家に持って帰らず友達の家で友達に配ってたって言うんやから、最低な奴。

それを知って、それまで以上にハルにムカついた。

もうほんまに、なんでかわからへんけどめっちゃムカついて、苛々して、
ハルなんか嫌いって思ってた。

でも、そんなハルやのに、毎年私のチョコレートだけは絶対食べてくれて。

その年も「おい!チョコくれよ。」って、ねだってきて。

それがなんか知らんけどすっごいうれしくて、なんか知らんけど満足で。

他の子のチョコは食べへんけど、私のは食べる。

それがすごいことな気がして、特別に思えた。