心無しか小刻みに震えてるような、

そんな彼女は、やっぱり・・・俺には姉に見えない。


一人の、女の子。


小さくて、守ってやりたくて、ずっとずっと俺がそばにいたい。

真田先輩なんかに、横から掻っ攫われてたまるかよ。

ずっとずっと小さい時から、こいつの隣は俺のもの。

誰より、俺が近くにいたい。

今までも、これからも・・・・。



「葵・・・。」

近づいて、葵の頭をそっとなでる。

そして、顔を覗き込んで、親指で唇をなぞった。

「切れるから。」

親指の動きに合わせて、ふっと口元を緩めた。


こうやって至近距離でみつめて・・・

ほんまやったら、きっとキスでもするところやろ?

でも、俺はまだ・・・・おまえにとっては。

俺の言葉は伝えても、葵は戸惑っているだけ。

きっと、葵の中で俺は弟。


どうしたらいいのかわからないように、泣きそうな顔。

そんな顔すんなよ。

俺は、おまえのこと困らせたいわけでも、泣かせたいわけでもない。

笑っててほしい。

いつだって、幸せにしたい。