なんで俺じゃあかんねん

「ちょ、行くってどこに?」

後ろから葵がギャーギャー騒いでいたけど、そんなん無視や無視!

葵の手をにぎったまま、電車に乗り、あっというまに最寄り駅。

見慣れた光景。

この道を二人で歩くと、今まで葵と過ごしてきた長い年月に自然と思いを馳せてしまう。


電車に乗ったあたりから、葵はもうなにも言わなくなっていた。

ただ静かに俺の後をついてくる。

勘違いかもしれないけど、葵もちゃんと手を握り返してくれているような気がしている。

勘違いでもいい。それがうれしかった。


「あ、ここ・・・。」

子供の頃に、よく葵と遊んだ公園。
葵が怒られると逃げ込む公園。

「うん。」

懐かしそうに見渡す彼女を隣で見ていた。

時間は17時前。

子供たちはもういない。

と言っても、俺らが昔遊んでた公園なんて、もうだいぶ古くて
きっと昼でも遊んでる子供の人数なんてしれてる。


小さいときは、ひろい公園やと思ってたけど・・・

「こんなに狭かったっけ?」

俺の心の声と葵のつぶやきがシンクロした。

「俺も同じこと思ってた。」

思わずそう言うと、葵が小さく笑った。