なんで俺じゃあかんねん

「あの~すいません!!」

さらに自分のことが嫌になって暗くなってたところに、見知らぬ女2人。

たぶん年上。

てか、成人してると思う。

葵はなにも言わずに少し後ろで立ち止まった。

「なんすか?」

「今って一人ですか?」

「え、あ、いや・・・。」

状況が状況なだけに、なんて答えていいのか。

俺が歯切れの悪い回答をしていると、彼女たちはそれを肯定ととったらしい。

「このあとって暇だったりしいひん?

てか、高校生?」

「高校生ですけど・・・別に暇じゃないです。」

「え~そんなつれへんこと言わんといて!

うちらと遊ぼうよ~。」

「そうそう!!君、めっちゃイケメンやから、お姉さんたちがおごったげる。」

女二人がにこにこ笑って距離をつめてくる。

逆ナンはこれまでにもあったけど、なんか今回のは諦め悪そう。

だいたいは、最初の反応であっちも察するねんけど。

「そんな時間はとらせへんから~。一緒にお茶するだけ!」

「高校生相手やし、ちゃんと夜には帰すやんな~?」

押し切れると思っているのか、二人はどんどんテンションをあげていく。

葵は、すぐ後ろにいるのになにも言わない。

それどころか、空気みたく存在感を消しているようにすら感じる。