なんで俺じゃあかんねん

しばらく、俺は歩き続けた。

葵はなにも言わずについてくる。

あほやろ・・・

勝手に怒って勝手におまえに当たった男に、それでもちゃんとついてくるなんて。

俺やったら帰るわ。

時間がたつにつれて、だんだんと落ち着いてきて、自分の浅はかさに嫌になってくる。

振り返って葵に謝罪しようと思うけど、まだ嫉妬心からくる苛つきもあってできない。

俺ってめんどくさいなー。

弟じゃなくても、こんな男はフられるな。

そう感じてさらに嫌になる。

「はあ・・・・。」

小さくため息をついた。

葵は、今どんな気持ちで俺の後ろにおるんやろう?

意味わからず勝手にすねた弟を心配する姉?ってとこかな。

ほんまに嫌になる・・・。

俺が足を緩めても、葵が横にくることはない。

それに気付くと悲しくもなってくる。

俺は勝手や。

自分でまいた種やのに・・・。

バカやな。

葵のことになると、なんかすぐに余裕なくなる。

もともと他の奴らとおるときは、こんなに感情の浮き沈みが激しくないのに。

俺としては、葵とおるときにこそいつでも平然でいたいのに。

それができん。

すぐにカッとなるし。と思ったら、舞い上がったりもするし。

ほんまにバカ。ただのガキや。