なんで俺じゃあかんねん

「ちょっとハル!待ってよ。」

店を出たところで、葵が追い付いてくる。

「なに?」

「・・・なんで怒ってんの?」

心底不思議そうな顔するなよ。

「別に怒ってないし。」

「うそ!

何年一緒におると思ってるんよ。すぐわかるわ。」

「わかってるつもりやろ。」

こんだけ一緒におるけど、葵は俺のことわかってないやん。

「なにそれ。ほんま、いきなりなにキレてんの?」

「キレてないわ。

葵が先輩とのことで浮かれてるから、自分と比べてそう見えるだけちゃう?」

「意味わからんし。

それに別に浮かれてないし。」

「うそつけ。赤くなってたやん。」

「そ、それは・・・告白のこと、思い出して。」

そしてまたしどろもどろになる。

その言動に、さらに苛々してくる。

やっぱり結局真田先輩なんか?

俺じゃ、あかんのかよ・・・。

「もうええから!」

そう言って、葵を振り切って歩き出した。

こんなんただの嫉妬や。

わかってるけど、自分を制御できへん。

やっぱり俺もガキやな。