なんで俺じゃあかんねん

葵は笑顔だが、俺は到底一緒に笑えなかった。

必死に顔にはださんようにしたけど・・・・

「ハル?」

俺の異変にとうとう気づく。

やっぱり顔に出てたらしい。

「え、どしたん?」

どしたん、って・・・それ本気で聞いてる?

「葵、真田先輩に告られてたよな。」

「へ!?」

ドン!!!

葵が動揺して、手の中にあったボールが床に落ちた。

俺は、なにも言わずにそのボールをもとの棚に戻す。

「部活で真田先輩が他の先輩らに冷やかされてたで。

ついでに、まだ返事待たせてる葵に、みんな『なんで?』って言ってた。」

「えーなにそれ。やめて。」

葵が恥ずかしそうに顔面を手で覆う。

同じ赤面でも、今回はめっちゃ苛つく。

「まだ待たせてるってことは、付き合うつもりあるってこと?」

俺は、ちゃんと付き合うなって伝えたやん。

「・・・それは、まだわからんよ。」

わからん、ねえ・・・。

弟の俺の言葉が、影響力あるなんて思ってない。
けど、やっぱり・・・。


さっきまで楽しかったデートなのに、一気に雰囲気が悪くなってしまった。


俺はそのまま葵の横を通りすぎて店の出口へ向かった。

他にもいろいろ見たかったけど、今はどうでもよくなった。

また今度でええわ。