なんで俺じゃあかんねん

ファーストフード店を出た俺たちは、とくに目的もなくぶらぶらとS町を歩いていた。

正直、ごはんたべたから、と解散になる気もしてたから、俺的にはデートがまだ継続していてラッキーや。

隣を歩く葵は、ファーストフード店に入る前と比べると、どことなくきごちなさがあって。

俺の方をあまり見ない。

それが照れているようにしか見えなくて、また俺ばっかりうれしくなる。

機嫌よく、歩いていると、よく行くスポーツ専門店が見えてきた。

「あ、葵!そこ入ってもいい?」

「うん。」

俺がここによく来ることは葵も知ってるから、とくになにも言わずについてきた。

店内に入り、真っ先にバスケコーナーに足を運ぶ。

「うわ!これ最新のバッシュやん!もう入ったんや~。」

つい最近でたばかりの型だ。

値段を見てみると・・・当たり前だけど高校生にはとても買えない。

高校入る時に新しくしたばっかりやし、別にほしいわけじゃないけど。

やっぱり高いな・・・。

「ええ!?シューズってこんなにするん?桁間違ってない?」

横から覗き見てきて、驚いている。

「するよ、ええやつは・・・。ピンキリやけどな。」

「知らんかったわ。」