なんで俺じゃあかんねん

しばらく、固まって・・・

葵はわなわなと震えてきた。

「ちょ、ちょっと!!!」

いつもの声よりもワントーンくらい高い声。

「なにするん!?」

赤い顔で、涙目になって俺を見てくる。

いや、それこっちからも言わせてもらうわ。

こんなところで、そんな顔見せるって、なにしてんの?

「別に。」

さっきまで俺が楽しかっただけやったのに、ちょっと焦る。

葵の顔見てたら、余裕なくなるから窓に目を向けた。

「・・・ソースついてたから。」

「そういう問題じゃないやろ?

それなら、口で言ったらいいやん。」

葵からの抗議はやまない。

「こっちのが早いやろ。」

一瞬だけ葵を見たけど、やっぱり顔が赤いままで直視できずまた視線を外す。

はあ・・・

ちょっと失敗かも。

調子のって、やってもたけど、葵の見せる表情に俺のが動揺してる。

俺も十分お子様ってこと、忘れてたわ。

「もう!なんかハル慣れてる?

いつのまにそんなことできるようになったんよ・・・。」

慣れてる、やと・・・?

おまえの目は節穴か?

「・・・はじめてやわ、あほ。」

俺は、ムカついたからそう言ってデコピンした。

そんな俺を見て、葵は少し笑ったような気がした。