なんで俺じゃあかんねん

相手は開いていた口を閉じた。

「やっぱり、いい・・・。なんでもない。」

「そう?」

葵は袖をつかんでいた手をおろし、少しうつむいた。

あ、つむじ・・・。

はっきり見えるくらいに、いつのまにか二人に身長差ができていた。

なんかそう思うと、ただのつむじが可愛い。

俺は、くすっと笑って葵の頭をぽんぽんっと撫でた。

「おやすみ、葵。」

反射的に顔をあげた葵にそう告げると、今度こそドアに手をかける。

「おやすみ・・・。」

ドアが閉まる直前、呟きが聞こえた。


よし・・・

とりあえず、デートには誘えた。

葵の反応もまずまずやし。

最近、いいことに事が運びすぎてて、機嫌がいいのを自覚している。

今も。

緩む口元を抑えきれないまま、自室に戻る。

「頑張るか!」

葵とデートできる!

それを楽しみに、明日からのテストを頑張ろう。

意気込んで、デスクに向かう。

今まで見たことないくらいの勉強に対する自主性。

これはホンマにテストでいい線狙えるかもやな。

俺、割とやればできるし。

そんな自画自賛でモチベーションをあげながら、ノートにペンを走らせた。