なんで俺じゃあかんねん

俺は、文字通りふうっと一息つく。

「葵。」

「だから、なに?」

「俺も勉強頑張ってんねん。」

「あ、そう。」

「うん。葵が教えてくれたから。」

その言葉にパッと顔をあげて、俺を見る。

あの夜のことを思い出したんやろう。

顔を真っ赤にさせている。

「それはもう、いいから。」

いや、よくない。

「葵はよくても、俺は忘れるつもりないから。」

「忘れて!」

「無理。」

「なんでよ!」

それは・・・

「忘れたくないから。」

ってだけやけど。

俺の返答に、どうしたらいいのかわからない、というように視線をさまよわせる。

ほら、やっぱり。

おまえ、俺のこと意識してるやろ?

そうやって、可愛い反応して、俺のこと弄んでるやろ?

期待させて・・・楽しんでるやろ?

そう思わないと、どんどん都合のいい方向に考えてしまう。

「私は忘れるから!忘れてみせるから。」

みせるって・・・そう言ってる時点で、忘れられへんってこと、わかってるんかな?

でも、もう突くのやめとこ。

喧嘩しにきたんじゃない。

「そうか。」