なんで俺じゃあかんねん

じっと、至近距離で見つめあいながら、

だんだん近づく距離。

葵は、とうとう我慢できなくなったのか、ぎゅっと目を閉じた。

・・・・あ!!

その反応に、俺の中の少しの理性が効いた。

けど、もう止められない。

だから・・・

「ちゅっ・・・・」

「・・・・っ!」

彼女の、左頬に軽く。

少しの理性を最大限働かせた、俺なりの最善。

触れないでいるのは無理だった。

けど、唇に触れる勇気もなくて。

だから。

それでも、俺には十分だった。

葵はビクッと全身を震わせてから、おそるおそる目をあける。

そして、俺の唇が触れた頬をそっとおさえる。

「な、に・・・今の。」

それ聞く?

「・・・感謝の意。」

他になんて答えればいいんや。

葵は、がたんと椅子を引いて勢いよくたちあがった。

「も、もう!!おしまい!!」

その顔はやっぱり赤い。

「勉強はおしまい!!明日も学校やし、寝るわ!!」

相変わらず頬を抑えたまま、そう告げる。

「お、おう・・・。おやすみ。」

「お、や・・・すみ・・・なさい。」

俺と目が合うと、またビクッと肩を揺らし、さっとそらす。

そして、そのまま逃げるようにリビングを出ていった。