葵が俺に胸をきゅんとさせることなんてあるんか?

でも、昨日は確かに赤くなってたよな?

あれは、俺の顔のおかげか?

「せっかくなにをしても様になる容姿をお持ちなんやから、駆使しないと損!」

うんうん、と一人、また顎に指をあてて頷いている。

「坂井くんが言うように、その子が今は坂井くんのこと好きじゃないならなおさら。

そうやってドキドキさせて好きにさせればいいやん。」

「ええ?」

俺は嫌そうに彼女を見る。

そんなことできるか~?

そんな簡単に人は人のこと好きにはならんやろ・・・。

「じゃあ、違う男にとられてもいいわけ?」

怒ったように軽くにらまれる。

「それは・・・無理。」

真田先輩の顔が思い浮かんだ。

絶対嫌や!!

今日の部活も相変わらず活躍してたよな・・・・。

一方的に気まずくて避けたけど。


「じゃあちょっとは頑張らないと!!

坂井くん、後悔するよ?」

後悔はしたくないなあ・・・。

「うん。」

そうやな。

俺は、今までこれに関してはあきらめてばっかりで、頑張ってはなかった。

確かに頑張らないとな。