「も、むり・・・・!」

「は?」

いきなり葵が立ち上がった。

「ね、寝るし!!」

真っ赤な顔のまま、コップを置きっぱなしでリビングの出口に向かう。

「待てって!」

俺の横を通り過ぎようとしたとき、葵の手を掴んで立ちあがった。

びっくりしたように俺を振り返り、一瞬視線を合わせてまたそらす。

だから、なんなんその行動は。

俺を意識してますって言ってるように見えるねんけど。

なわけないよな?

お前にとって、俺はただの弟やし。

それが悔しくて、ぎゅっと葵の手をにぎった。

「・・・ちょっ!」

ぎょっとしたように俺につかまれている手を見る。

「は、なして・・・。」

俯いたまま、小さくつぶやく。

「無理。」

「なっ・・・!」

『なんで?』と言いたそうにこっちを見てくる。

あれ・・・葵の手って、こんなに小さかったっけ。

久しぶりに手を握って、ふと思う。

それに、葵って、こんなに小さかった?

今、俺のすぐそばにいる彼女を見下ろす。

いつから、俺の方が背が高くなったっけ?

中学入る時は、同じくらいか、俺のが低かったはず。

そういえば、こいつ背何cmやっけ?

ちっさいな・・・。

なんか、簡単につかまえられそう。