なんで俺じゃあかんねん

まあ、ええか・・・

めちゃくちゃ喜んでるクラスの連中見てたら、なんか怒る気も失せるし。

俺もなんやかんや、頑張った甲斐あってこうして表彰されるんはうれしい。

委員長と横山さんが舞台で表彰状をもらって、俺らに向かって掲げている。

それに対してまた盛り上がる。

うれしくて、俺も無意識に手をたたいて喜んでいた。

少し前の方に、雅さんの後ろ姿が見える。

彼女も、周りの奴らと笑い合っている。

母親とのいざこざを乗り越えて、楽しみにしていた文化祭に出席できた。

そして、こうしてみんなと笑えている。

よかったな・・・

まあ、そんな喜びの日に一点の黒いシミを作ったんは、きっと俺やけど。

彼女に対しての感情は、未だにはっきりしない。

葵以外に、ここまで関心をもった女は初めてやった。

恋かとも思ったけど、やっぱり違う。

俺が好きなんは葵や。

きっと、一番近い表現は同士。

なにかに一生懸命本気で頑張ってる同士。

そして、一人に片思いをしている同士。

だから、彼女には笑っていてほしい。自分と重なるから。