なんで俺じゃあかんねん

俺はいつもの窓枠に体を預ける。

そして、空を見上げた。



「葵は、雨女なんよ。」

ふと呟く。

「いっつも、あいつが楽しみにしてた日はだいたいが雨でさ。

この一週間、ずっと天気予報気にしてたけど、予報通り晴れてよかったよな。

あいつのクラス、屋台やから、雨やったら最悪。」

「晴れて、よかったね。」

「ほんまに。」

また力なく笑う。


「真田先輩はさ、晴れ男らしいわ。まえ部活で言っとった。

あいつの雨女を、先輩が打ち消したんかな。」

俺はどっちでもないから。

きっと先輩と出かけるときは、晴れるんやろう。

今までみたいに、当日に窓の外を見て残念そうにする葵を見なくてよくなるんやろう。


「坂井くん、葵先輩のこと・・・好きなんやね。」

あの時の質問を、またされた。

あの時は否定した。



けど、もう・・・いいか。



「雅さんにはバレバレやな。」

なんでか、バレてるんや。