なんで俺じゃあかんねん

あかん・・・かった・・・・

こんなに近くにおるのに、葵がひどく遠く感じる。

周りの友達に冷やかされながら、顔を赤く染める葵。

聞かせたくなかった。

こうやって妨害しても、なんの意味もないのはわかってるけど

それでも、なんとかして葵を連れ出したかった。

見つけたのに。

先輩より前に、葵に辿り着いたのに・・・

結局、俺は負けたんや。

こうやって、他の男に告白されて、照れてる葵の姿なんて見たくない。

やっぱ無理や・・・・

葵が、好きや・・・

どうしたって、その事実は変えられへん。


一刻も早く、この場を立ち去りたい。

やのに、足が動かへん。

なんやこれ・・・情けな・・・・

こんな大勢の前で告白した真田先輩と、こうやって足をすくませてる俺・・・

勝ち目なんてあるわけないやん。

かっこわる。

ホンマに俺・・・かっこわる・・・・。