なんで俺じゃあかんねん

そして、見つけた・・・

「葵!!」

その腕をつかむ。

「え、ハル!?」

「次は・・・なんとなんと!あの有名人!

エントリーNo.8、バスケ部のイケメンエース!2年4組の真田 海くんでーす!!」

俺の方を向いていた葵が、MCの声にステージを振り返る。

「真田くん!?」

辺りにいた女子が騒ぎ出す。

「真田くんの告白!?」
「されるんじゃなくて?するの!?」
「やだ~聞きたくない~けど気になる~!!!」

葵も驚いたようにステージを見ている。

嫌や、あかん、あかん!!

「葵!」

「ん?あ、そうや、ハル・・・どしたん?いきなり。」

「いや、あの・・・」

どうにかして、ここから葵をつれださないと。

でも、上手い理由が見つからへん。

「えっと、先生が・・・『俺には、1年のときからずっと好きやった子がいます!』

俺の言葉をかき消すように、先輩の声がマイクを通して体育館に響いた。

一瞬にしてその場は静まり返り、全員の注目が真田先輩にうつる。

もちろん、葵も。

「その子は、いつも明るくて一緒におったらほんまに楽しくて、笑顔が・・・めっちゃ可愛くて。

友達になってから、すぐに好きになりました。」

顔を真っ赤にしながら、先輩は言葉を続ける。

「でも、俺は自分に自信がなくて、ずっと彼女には気持ちを伝えられへんかったけど、

彼女に告白するために、ちょっとでも自信をつけたくて、バスケ頑張ってエースになりました!

長かったけど、やっと今日言えます!」

決意に満ちた目をした先輩が、こっちを・・・葵を見ている。

隣の葵を盗み見ると、なにかに気付いたようだ。


「坂井 葵さん!ずっと好きでした。

俺と付き合ってください!」