なんで俺じゃあかんねん

次の奴のステージに移り、パッと視線をあげる。

視界に入ってきた人物を見て、俺は声をあげそうになった。

次の次・・・・

順番を控え、緊張した面持ちの人物。

真田、先輩・・・?

認識した途端、俺は走り出した。

「坂井くん!?」

雅さんの声に振り返ることもなかった。

裏から回って、体育館の入口へ。

この大勢の客の中に、きっとおるはずや。

真田先輩があそこにおったってことは、その相手も。

直接聞いたわけじゃないのに、俺は相手を確信していた。

同じ奴を好きになった男の勘。

俺は、人込みをかき分けて姿を探す。

どこや?

人、多すぎやろ・・・

真田先輩の前の奴がステージに上がる。

はやく、はやく・・・

見つけないと。

昔から、俺はあいつをよく探してた。

買い物に行ってもよくはぐれるから。

親に怒られて家も飛び出すし。

見つけて連れ帰るのが俺の役目やった。

だから、きっと他の誰よりあいつを見つけるんは得意なはず。

でも、今はデパートでもないし、あいつがいつも泣いてるあの公園にいるわけでもない。

くそ・・・どこやねん。


とうとう、先輩の前の奴も告白を終えてステージをおりようとしてる。


頼む、間に合え!!