なんで俺じゃあかんねん


「兄貴って・・・5組の相崎 翔(あいざき しょう)?」

と葵に問いかける。

「あ、うん。去年ちょっと、ね。」

「そう、なんや・・・。俺、同じクラスやったのに全然知らんかったわ。」

「別に隠してたわけじゃないけど、たぶんそんなに知られてなかったと思う。」

葵が、なぜか気まずそうに苦笑い。

「いつくらい?」

やけに聞くな~

「えっと、夏休み前から冬休みあけるくらいまで、かな?」

「割と長いな。全然気づかんかった・・・。

俺、翔とも坂井さんとも割と仲良かったのに。

なんか水臭いやん!教えろよな~。」

真田先輩ってわかりやすいな。

葵のこと、そのときから好きやったんやろな。

なんか、見てて複雑な気分。

「翔はモテるのに、やるな~坂井さん。

どっちから告ったん?」

モテる奴なんや・・・

まあ、遼もモテそうやしな。

「兄貴ですよ!ね?」

葵が照れ臭そうに言葉を濁していると、遼が口をはさむ。


「遼くん、よく知ってるね。」

「兄貴言ってましたから。」

なんやなんや、この空気・・・

真田先輩は複雑そうやし、葵も気まずそうやし

唯一遼はなんもわかってないんやろうけど。

俺も居心地悪いわ。