なんで俺じゃあかんねん

「え?え?坂井くん!」
「やばい!こんな近くに坂井くん!」
「まじでかっこいい・・・。」

そこらへんにいた女子が一気に騒ぎだした。

こっちがやばいんやけど・・・

苦笑いで「あ、ごめん。」とひとまず驚かせたことに謝る。

「全然!坂井くんも見に来てたんや!」

女子らが振り返ると、やっぱりリボンの色は赤だった。

「うん、飯島に誘われてたし。」

「同じバスケ部やもんね~。」

女子らが声のトーンを高くして俺に話しかけてくる。

てか、俺のこと知ってんの?なんで?


「あ、ハルや~ん!!」

一応演劇中なのに、普通の声のトーンで話しかけてくる奴がいた。

こいつには、入り口のとこに貼ってあった「私語厳禁」の文字が読めんかったんか?

「遼、声でかいって。」

俺があきれながら振り替えると「やば!」と口を押える。

「てか、おまえなにその耳!」

遼はなぜか猫耳カチューシャを付けている。

「ん?なんか午前に来た3年の女子の先輩がくれて。

クラスの女子らに、文化祭中はつけろっていわれた。」

髪色と妙に似ているせいか、本物に見えなくもない。

そんな彼の登場に、また女子たちが騒ぐ。

だから、みんな・・・演劇中やからな?

「遼たんまで!」
「なにその猫耳、かわい~」

「え、誰?ハルは女子の知り合い多いな~

はじめまして。相崎 遼で~す。」

へらへら挨拶している。

「だから、静かにせえって。」

「あーわるい!」